2009年02月12日

映像 イスラエル兵に立ち向かう女性

イスラエル兵に立ち向かう女性の映像です。
http://www.informationclearinghouse.info/article21676.htm
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2009年02月09日

ガザの「夜と霧」

編集者様、広河様

DAYS JAPAN2月号の編集後記を読みました。
「罪を正当化できる罪はない。」とのシェロモー・サンド氏の言葉、その通りだと思います。
一方で私は、ヴィクトール・E・フランクル著、池田香代子氏翻訳の「夜と霧」も読みました。以下の文章に目が留まりました。

「・・・とくに、未成熟な人間が、この心理学的な段階で、あいかわらず権力や暴力といった枠組にとらわれた心的態度を見せることがしばしば観察された。そういう人びとは、今や開放された者として、今度は自分が力と自由を意のままに、とことんためらいもなく行使していいのだと履き違えるのだ。こうした幼稚な人間にとっては、旧来の枠組の符合が変わっただけであって、マイナスがプラスになっただけ、つまり、権力、暴力、恣意、不正の客体だった彼らが、それらの主体になっただけなのだ。この人たちは、あいかわらず経験に縛られていた。
 このような事態は、些細なことをつうじて明らかになった。たとえば、ある仲間とわたしは、ついこのあいだ解放された収容所に向けて、田舎道を歩いていた。わたしたちの前に、芽を出したばかりの麦畑が広がった。わたしは思わず畑をよけた。ところが、仲間はわたしの腕をつかむと、いっしょに畑をつっきって行ったのだ。わたしは口ごもりながら、若芽を踏むのはよくないのでは、というようなことを言った。すると、仲間はかっとなった。その目には怒りが燃えていた。仲間はわたしをどなりつけた。
 「なんだって? おれたちがこうむった損害はどうってことないのか? おれは女房と子どもをガス室で殺されたんだぞ。そのほかのことには目をつぶってもだ。なのに、ほんのちょっと麦を踏むのをいけないだなんて・・・」
 不正を働く権利のある者などいない。たとえ不正を働かれた者であっても例外ではないのだというあたりまえの常識に、こうした人間を立ちもどらせるには時間がかかる。そして、こういう人間を常識へとふたたび目覚めさせるために、なんとかしなければならない。・・・」

私は、強制収容所で生死の境をさまよったことも、度重なる爆撃で家族を失ったこともありませんが、悲しんでいる人がいれば、慰めたく思います。
悪が悪を生み出す連鎖を止めなければなりません。これは、ジャーナリズムだけでなく、カウンセリング、精神医療、小説、音楽、演劇など、芸術までひっくるめた多くの人間の働きが必要だと思います。

蔦村的子
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2009年02月08日

バスケットボール試合での抗議活動

イスラエルのバスケットボールチームがバルセロナに試合に行き、
抗議で迎えられたという映像です。
http://palsolidarity.org/2009/02/5088
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2009年02月05日

村上春樹氏のエルサレム賞受賞について

ガザを出てカイロに戻りました
6日朝に帰国します

牧村しのぶさんほか、多くの人がこの度の村上春樹のエルサレム賞受賞に対してアクションを起こされています。
私もこの時期に血ぬられたイスラエル首相の手から文学賞を受賞するなど信じられません。
政治の問題ではないと村上氏は言うかもしれませんが、受賞を受諾すること自体が極めて政治的な問題だということを彼はわかるべきです。
なぜならガザの事件は、人間の問題であり、人間の命の問題であり、このタイミングで加害者の手から賞をもらうことは、この問題にふたをすることに手を貸すことになるのです。それこそ加害者にとって最も望ましい「政治的解決」なのです。
http://blogs.dion.ne.jp/183/archives/8063170.html

村上氏のエルサレム賞受賞については、そのほかに次のような意見もあります。
http://0000000000.net/p-navi/info/column/200901271425.htm

メッセージを出版社経由で届けるフォーマットです。
http://d.hatena.ne.jp/m_debugger/20090130/1233279619#c

村上春樹氏への公開書簡
http://palestine-forum.org/doc/2009/0129.html
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2009年02月04日

ガザからのブログ(最終)

廃墟となった破壊の後の町でマリアムという女の子に会いました
呆然として歩いていました。何か大変な恐怖が彼女を襲ったように思えました。他の子たちは遊びまわっていても、この子はほとんど口を利かないのです。翌日、家族に会って、事情を聴きました。昨年12月27日、戦争の最初の日に彼女は学校にいました。そのとき近くに爆弾が落とされ、彼女の上に何かが落ちてきたのです。それは人間の体の一部とわかる肉片でした。恐怖で叫ぶ彼女を他の人が助けて建物の陰に隠したといいます。それから延々と爆撃が続きました。彼女の家はイスラエル国境に近いので、イスラエル軍の動きがよく見えます。彼女は窓のそばを恐れました。彼らから見えるからです。暗闇を怖がりました。いつも夜にイスラエル軍が攻撃してきたからです。彼女の家は破壊されましたが、心の中でどれほどのものが破壊されたのでしょうか。これも戦争犯罪と呼んでいいのではないでしょうか。

20日発売のDAYS JAPANの表紙には、このマリアムの写真を掲載しようと思っています。まもなくガザを出ます。エジプト政府が、ジャーナリストは早く出ろといってきたからです。ジャーナリストが立ち去るのも、人々は不安の眼で見ています。何が起こるのだろうかと。

広河隆一
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2009年02月03日

映像−イスラエル製品ボイコット

パレスチナで人々が、イスラエル製品に対してボイコットをする映像です(英語)。
http://www.wikio.co.uk/video/801602
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爆撃が続くガザ

今日もガザの北部、イスラエル国境近くを廻りました。激しい破壊の跡が残り、瓦礫の合間にテントが建てられています。この数日でテントが建ているのですが、ほとんど入る人はいません。家を失った人は多いのに、テント村だと、一発の爆弾で全員が死んでしまうのではないかと恐れているのです。そこから遠くないところを砂煙を上げながらイスラエルの戦車が移動するのがよく見えますし、20日前にはこうした移動の後で、侵攻してきたので、人々の恐怖は今でも強いのです。イスラエル軍は広大な地域を占領したあと、小さな家はブルドーザーで破壊し、大きな家は爆薬で爆破しました。そうした家は何千もありますが、破壊した後土をかぶせてどこに家があったのかわからなくしているのです。
イスラエルのこの不審な行動に、人々の恐怖はいよいよ増しています。この一帯は、誰も戻ることも、家を再建することも許さないという意思表示ではないかと。
今日私が撮影中にも10発ほどの爆弾が落ちた音が聞こえました。南部のエジプト国境付近にも何発もミサイルが撃ち込まれているようです。これは停戦ではありません。今でも攻撃は続行中です。これは選挙が終わるまでの国内向けデモンストレーションとの見方もあり、その後にさらに巨大な規模の攻撃があるのではないかと、うわさされています。

広河隆一
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2009年02月02日

広河隆一 アミーラとの出会い

ガザのシファー病院でアミーラに会いました。このブログで紹介した女の子です。
彼女はだいぶ元気になっていましたが、足に金属の器具をつけて、少し動くのにもつらそうでした。
彼女は数日前にヨーロッパで治療するため、ほかの3人の女の子といっしょにエジプト国境から救急車で運ばれようとしました。ところがエジプトの役人たちは、境界線で2日も彼女たちを救急車に閉じ込め、外からバンバン車をたたき、「お前たちはハマスの政治的道具としてヨーロッパに運ばれようとしているんだ」と怒鳴り続けたといいます。ほかの女の子も彼女も恐怖でパニックになり、もう2度とエジプト人は見たくないといっています。でもイスラエルは病人のためには国境を開けません。
私はエジプト側のラファのゲートから入りましたが、1日目は入ることができず、30キロ離れた街に戻り、そこで泊まったのですが、そこには1000台もの救援物資満載のトラックが止められていたのです。
エジプトが救援物資の通過を許可しないのは、イスラエルに配慮しているのか知りませんが、この問題の複雑さを思い知りました。アミーラはイスラエルだけの犠牲者ではないのです。
ところでアミーラは3日間生死をさまよってそして奇跡的に助けられましたが、2−3日というこの時間に助けが来なかったために、多くの人が亡くなっています。イスラエルは多くの場所で救急車の通過を許さなかったのですが、これも殺人行為として、国際法で裁かれるべきことではないでしょうか。
広河隆一
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2009年01月22日

アミーラ:マアアン・ニュースのジャーナリスト、銃撃を逃れ、自宅に隠れて死にかけている少女を発見

アミーラ:マアアン・ニュースのジャーナリスト、銃撃を逃れ、自宅に隠れて死にかけている少女を発見(マアアン・ニュース)
原文:http://www.maannews.net/en/index.php?opr=ShowDetails&ID=35083

2009年1月18日 14時52分

ガザ-マアアン
 治療も受けていない15歳のアミーラの傷口から、2日間出血し続けていた。アパートに父親と2人の弟の死体を残し、彼女は自宅から逃げてきたのだった。
 建物の中に隠れていた2日間、手おけ一杯の水があっただけで、毛布も救急箱もなかった。アミーラが逃げ込んだのは、マアアンのジャーナリスト、エマード・エイドの家だった。
 エマードは、家族を、ガザ市内の比較的安全な地域に逃がしていた。そしてイスラエルの戦車がテル・アル・ハーワから撤退した時、被害の実態を確認しようと自宅に帰ったのだった。すると、食料も水も寝具もない空っぽの家の中で、アミーラが血を流していた。

<エマード・エイド>
「どうやって爆弾から自分の身を守ったの? 怪我してたった1人で二日間も隠れている時、戦車の音を聞いてどうしていたの?」とアミーラに聞いた。
 しかし彼女は答えられない。アミーラにはその余力も勇気もないのだ。生き残る勇気だけはあったのだが。医療チームが診た時には、アミーラには5袋分の血液しか残っていなかったのだ。
父親と2人の弟が目の前でどのように死んだか覚えているかなんて聞けない。
 母親は、家族が皆死んでいると思っていた。その母親に抱かれて喜びにあふれ、祝福されているというのに、死者のことなど聞けるものか。
 医師たちは、私に話した。小さな女の子にとって、たった5ユニットしか血がなくなってしまうということはどういうことかを。彼女は生と死のはざまにいたのだと。アミーラに、どこから生きる力を得たのか聞いてみたい。
 15年しかまだ生きていないのに、死に、爆弾に、戦車の轟音に立ち向かう勇気を持たなければならないなんて、アミーラ。
 母の寝台の上にいるアミーラを見つけたとき、彼女は「許可なくあなたの家に入ってしまってごめんなさい」と私に言った。血まみれで、頬には涙の流れた跡があった。詫びの言葉などどうやって口にできたのだろうか。
 私は家族と共にその地区を離れたのだった。家の前を戦車が通るところを見たり、窓に銃身が向けられることを恐がったりしてほしくなかったのだ。だがアミーラはそれらを見たのである。私が見つけたときアミーラは眠っていた。もしくは、医師たちが言ったように、生と死の狭間をさまよっていた。私が起こすと、アミーラはこう言った。「叔父さん、どうやってあなたの家に入ったのか覚えていないの」と。「彼らは目の前で父と弟たちを殺してから私に爆弾を投げたので、足を怪我しました。そこから走って逃げたのですが、また爆弾を投げてきました。当たりませんでした。それから、あなたの家の扉が開いていたので入り、あたりの音を聞きながら一人でベッドの上にいました。聞かれるかもしれなかったので、怪我のことで叫んだり、泣いたりはできませんでした」

 アミーラは破壊された自宅から逃げた。神が彼女に与えた命を求めて逃げた。
 アミーラの残された家族は、家が爆撃されたとき父親で42歳のファーティ、それに弟のエスマット12歳、アラ11歳と一緒に彼女も死んだと思っていた。家族は、自分たちがアミーラの体の破片だと思ったものを埋葬していた。
 私たちがアミーラをアシュ・シファー病院に急いで運んだ前日に、アミーラの母親はファーティとエスマット、アラを埋葬したのだ。彼女はアミーラがまだ瓦礫の下敷きになっていると思った。
 話を聞いてアミーラの母親は病院に駆けつけた。たくさんの涙を流した。アミーラの叔父たちは神を称え、アミーラの命を救った奇跡について感謝した。
(訳:青柳泉)
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2009年01月20日

イスラエル国首相宛て手紙(NPO法人アウシュヴィッツ平和博物館)

福島県・白河市にあるNPO法人アウシュヴィッツ平和博物館がイスラエル大使館に送った声明文です。
http://www.am-j.or.jp/index2.htm


イスラエル国首相
エフート・オルメルト様
 イスラエル軍によるガザのハマス掃討攻撃によって、罪のないパレスチナの一般市民多数が巻き添えとなっていることは、大変遺憾であり、強く抗議します。イスラエル軍の攻撃規模は、もはや自衛行動の範囲を完全に逸脱し、たとえ防衛でも過剰防衛であると言わざるを得ません。同時に、私たちは、ハマスによるイスラエル市民へのロケット攻撃も批難します。私たちは、あらゆる暴力行為に反対です。暴力の応酬は拡大し、たとえハマスを倒しても別の抵抗組織が生れ続けるのは明らかです。これ以上の犠牲者を出さず、真の和解と共生を実現するために即時攻撃を中止するよう要請いたします。
 私たちは、世界の恒久平和を切に願い、人類が同じ人類に対して行った暴力行為の極限である「アウシュヴィッツ」の惨禍を通して「いのち」の尊さを学び伝える活動を行っています。アウシュヴィッツは、ナチス・ドイツによる戦争犯罪の極致であり、その犠牲者はポーランド民衆からはじまって、ナチス占領下のヨーロッパ諸民族、最終的には、圧倒的多数のユダヤ系市民の尊い命が奪われました。私たちは、アウシュヴィッツを全人類への警告として心に刻みながら、あらゆる戦争の根元、また、アウシュヴィッツの根元でもある「差別と偏見」を除去し、人種や文化、思想信条を異にする他者を尊重する社会の実現を目指しています。
 「戦争の原因は私たちの心の中にある、戦争を防ぐには私たち自身の心の中に平和の砦を築かなければならない」というユネスコ憲章の精神に基づき、私たちはアウシュヴィッツの記憶を学び伝える博物館を通して平和推進活動を行っています。アウシュヴィッツ最大の犠牲者の子孫が、今や圧倒的に優位な武力によって、明らかに弱体である隣人の命を奪い続けていることを、アウシュヴィッツで亡くなった方々はどう思われるでしょうか? ガザへの攻撃を即時停止し、パレスチナ人との和解と共生に努めるよう重ねて要請します。

2009年1月1日
NPO法人アウシュヴィッツ平和博物館
理事長 山田正行
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2009年01月18日

白リン弾の恐怖

(BBCのインターネットサイトで伝えられたニュース Eyewitness: Gaza's medical crisis の抜粋です)
ガザのシーファ病院にいる医師アブ・シャバーン氏(英国に本部のある慈善団体の援助でガザにいる医師です)の話です。原爆直後に治療にあたっていた医師の話を読んだことを思い出します(青柳)

http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/7830302.stm

ここでもう25年働いていますが、こんなことにはかつて遭遇した事がありません。 市民に、2−3歳のこどもに、こんなに負傷者が出たことは未だかつてありません。 人数に関しても傷の度合いに関しても、です。我々にはいま到着しているあれだけの患者を治療するだけの力はありません。だから、エジプトとの境界が開いたら、即座に治療が最も困難な重症患者をむこうへ送り、比較的治療が困難でない患者はこちらにとどめるのです。ここはいま地獄のようです。家が上から崩れてきたり、砲撃を受けたり燃やされたりして、家族という家族がすべて苦しんでいます。本当に悲劇です。我々のところには奇妙なやけどを負った患者がたくさん入ってきています。いままで我々が処置してきたようなものとは全く異なる、ふかいやけどです。傷口からひどい化学物質の異臭を放っています。この傷は長い間煙をだします。塩と水で洗おうとすると何らかの反応が起きて皮膚から泡が出ます。そして患者はひどい痛みを訴えます。また皮膚組織が重く破壊されている場合もあり、腕全体を切断しなければなりませんでした。
我々にはどういう治療をすべきかわからないのです。主な問題はどういう兵器が使われたのか、我々にはわからないということです。ノルウェーから来ている医師がいて、白燐弾ではないかといっていますがはっきりとはわかりません。もしそうだとしても、我々には経験がなく、白燐弾による傷にどう対処すべきかわかりません。我々は世界中の医師の助けを求めています。どういう兵器がこれらの傷を起こさせ、どう対処すべきなのでしょうか?傷から出てくる化学物質の臭いは、医療チームに有害でしょうか?長期的な影響はなんでしょうか?
我々には見当もつきません。何が言えるというのでしょう?患者を安心させようと我々はしているのですが、どうしようもありません。
私はもう36時間一睡もしていません。管理者ではないので、こういう状況であとどのぐらい人々を治療しつづけられるのかわかりません。最低限の供給しかなくとも私は永遠に働くつもりです。攻撃が続く限り働きます。そうしなければならないからです。

(青柳泉訳)
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2009年01月17日

バード・ストライク 広河隆一

ニューヨークで航空機に鳥がぶつかり、着水するという事件があった。
航空機に鳥が衝突する話は、私はイスラエルで知った。
テルアビブ空港に着陸する航空機は、地中海から進入するが、滑走路の手前にごみの大きな山があった。そこに大量の鳥が群がった。そしてこの鳥が航空機に衝突し、危険にさらされた。そこでイスラエルはさまざまな手を打った。群れるカモメが最も危険だったため、カモメが警戒を知らせる鳴き声を録音し、スピーカーで流した。するとカモメは逃げ出す。しかしこれではきりがない。結局ゴミは遠く離れた場所に捨てることになった。
 ところがイスラエル・パレスチナは、渡り鳥の航路にあたる。何十万、何百万という鳥が、ヨーロッパからアフリカへ渡るときに、この地を通る。地中海を直接飛ぶと羽を休められないし、嵐になると危険が多い。だから陸地沿いに飛ぼうとすると、東ヨーロッパから黒海の西岸を南下し、トルコを東に抜け、そこから再び南下して、シリア・レバノンから、パレスチナ・イスラエル・ヨルダンを通ってアフリカに抜ける。
鳥の渡りの経路を調べるために、ロシアから輸入したおんぼろレーダーが設置されている。それは、戦車の展示場所の中に設けられ、私はそこに一度入ったことがある。そこで調査しているのは、渡り鳥がイスラエルのどこを飛んでいるかである。群れは銀河のようにレーダーに映し出される。そしてこの群れが飛んでいる時間は、爆撃機は航行できない。バード・ストライクが発生するからである。マッハで飛ぶ戦闘機や爆撃機にぶつかるカモなどは、数トンの衝撃を与える。これで現実にファントム機が墜落していて、その破片もレーダー基地に展示してある。
 鳥の群れを調べるために、世界中のバードウォッチャーも動員される。私は渡り鳥の取材をしてテレビ番組にまとめたことがあるが、ある日、まる一日空を見上げていて、何も発見できず、夕方になってあきらめて帰ろうとして振り向いたとき、7000羽のコウノトリが静かに天空から降下してくるところだった。7000という数字はバードウォッチャーの団体に連絡して教えてもらった数字だ。
こんなときに航空機は危険にさらされる。
渡り鳥を撮影するときは、セスナ機のほうが扉をはずせるので便利なのだが、プロペラに鳥が衝突する可能性も高いからあまり接近できない。そのためときどきエンジンつきグライダーを使用した。エンジンで鳥の群れに近づき、そこでエンジンを切り、鳥が上昇するのと同じ上昇気流に乗って、鳥といっしょに上がっていくのだ。上昇気流に乗るときはがくんと機体が持ち上げられるのですぐ分かる。
 イスラエルは渡り鳥の研究が盛んで、ヨルダンやパレスチナの渡り鳥学会とも組んで、「渡り鳥に国境線はない」と合同研究をしていたが、それも第2次インティファーダまでだった。2000年にイスラエル右派リクード党のシャロンが「神殿の丘」にのぼり、パレスチナ人を挑発してインティファーダが起こり、やがてシャロン首相の右派政権誕生、そして2002年のヨルダン川西岸地区へのイスラエル軍大侵攻へと続いていく。
 ガザ地区は、渡り鳥の飛翔航路にあたる地中海岸にある。そしてガザの空爆は、渡り鳥がすべてアフリカへと渡り終わった12月に開始された。
posted by デイズジャパン at 11:03| Comment(3) | ガザ空爆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「パレスチナに自由を!」−ユダヤ人女性

ユダヤ人の女性たちがトロントのイスラエル領事館を占拠。
「パレスチナに自由を!」と叫ぶ。

http://www.youtube.com/watch?v=ln0zFRg0kRU
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2009年01月16日

国際連帯運動(ISM)による情報

国際連帯運動(ISM)http://palsolidarity.org/による情報です。

ガザ市のアル・クッズ病院に避難しようとしている家族をイスラエルは狙撃している。パレスチナ人と外国人のボランティア達は、家族たちが病院に入れるよう病院の外の通りに出ている。
オーストラリア人の人権活動家シャロン・ロックは、病院で医療チームを助けている。「イスラエルの狙撃兵が病院にたどりつこうとしている家族達を撃っている。彼らは怯え、行き場がどこにもない。少なくとも2家族が撃たれ、子どもたちが怪我している。
ガザ市内、テル・アル・フーワ地区のアル・アクサ病院は、午前1時半からイスラエル軍による攻撃を受けている。

病院は4度砲弾を浴びせられた。中にいる外国人ボランティアたちによると、イスラエル軍は建物を包囲して人が出入りできないようにしている。

病院は150回以上もの助けを求める電話を受け取っている。負傷し、治療を必要としている多数の子どもたちからのものもふくまれる。
イスラエル軍は病院を包囲し、誰も入ったり出たりすることができない。誰もこれらの子どもたちのところに行くことができない。

原文:http://palsolidarity.org/2009/01/4336

(訳:青柳 泉)
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2009年01月13日

ガザの写真

森澤典子さん経由で送られてきたガザの写真です。
http://www.elfarra.org/gallery/gaza.htm
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2009年01月12日

メディアとガザ報道

ガザ報道に携わるメディア関係者及び
その報道に接する人々へ

私はこの40年間、中東問題を専門に取材・発表してきました広河隆一といいます。岩波新書「パレスチナ新版」、「広河隆一アーカイブス・パレスチナ1948NAKBA」DVD(30巻・45時間)を発表し、月刊誌「DAYS JAPAN」の編集長をしています。
私は今回、メディアのガザ報道について、看過できない点が多くあり、大勢の人々が亡くなっている事件でもあるため、それについて私の意見を申し上げたくて、この文章を書きました。

1 イスラエルによるガザ攻撃の原因はハマスが作ったという報道について。
「ハマスは自爆テロで90年代から数百人のイスラエル人を殺害、ガザからイスラエルへのロケット弾攻撃をくり返し、イスラエル軍の報復攻撃を招いた」(朝日新聞2009年1月6日 時時刻刻 きょうがわかる 「なぜガザを狙ったのか」)
2  地球防衛家のヒトビト(朝日新聞4コマ漫画2009年1月8日)
内容は、まず小さな子が大きな子に「コノヤロー ポカ」と殴り、次のコマで大きな子が「あっ いてー やったなー おかえしだーっ ポカ」と殴り返し、それを大きな子の父親が見て「ワッハッハ」と笑い、3コマめでその父親が「相手が手を出してきたら100倍にして返してやれ」「ワッハッハ」と笑い、4コマめで、ポカポカ殴り続ける大きな子とあおる父親を見て、「まるでアメリカとイスラエルのような親子だな」と夫が言い、妻が「笑ってないで止めてやりなよ」というと言うものです。
この漫画はよくできていると思いました。しかし最初に手を出すのが「パレスチナ側」と描かれています。

こうした考えは、朝日新聞だけでなく、ほとんどのメディアに共通しています。イスラエルは自爆攻撃やロケットの攻撃で大変な犠牲を払い、たまりかねて今回の空爆と侵攻に及んだ、となっています。しかし事実はその通りなのでしょうか。アメリカ政府も「ロケット弾攻撃が中止されない限り、イスラエルは攻撃を停止する必要がない」と言ってきました。
朝日の解説記事では、自爆攻撃がハマスのせいのように書かれていますが、実際のところ自爆攻撃はハマスだけでなく、ファタハやそのほかの勢力によっても行われました。
またそれらの自爆攻撃も、いつも理由なしに殺戮を目的として行われているわけではありません。日本のメディアは「自爆テロ」と呼びますが、「自爆テロ」という言葉は、日本の造語で、英語では「自爆攻撃」「自殺攻撃」と呼びます。攻撃対象が占領地の中のユダヤ人入植地や検問所のイスラエル兵であった場合などは、海外では「テロ」とは呼ばない場合が多いのです。もちろん市民を対象とした自爆攻撃も多くあり、それがテロであることは言うまでもありませんが、その引き金をイスラエルが引いた例も多くあります。つまりパレスチナ側がイスラエルに殺害されて、その復讐で自爆攻撃を行った場合が多いのです。
だからイスラエル人が一方的にハマスの暴力にさらされてきたという解説のし方は、占領という暴力の中で、大勢のパレスチナ人が殺害されてきた事実関係を調べていないことになります。

次にロケット攻撃の問題です。今回のガザ攻撃の理由となったのが、ハマスのロケットであると、各紙、テレビ局が報道しています。しかしイスラエルがロケット攻撃を一方的に浴びたかのような朝日新聞の解説に反して、ガーディアン紙、AFP通信、ロイター通信などは、砲撃がイスラエル軍の挑発によるものだった例を報じています。たとえばAFP通信を紹介しましょう。
「イスラエル軍が(2008年11月)4日夜から5日朝にかけてガザ地区に侵入し、ハマスと戦闘になり、ハマス6人が殺害された。その後イスラエル軍の空爆により、ハマスにさらに5人の犠牲者が出た。ハマスは4日から5日にかけて、ガザ地区からイスラエル南部に向けて、ロケット弾と迫撃砲弾合わせて53発を発射したと発表した」(2008年11月5日、AFP通信)
「(2008年12月)23日夜にパレスチナの戦闘員3人がイスラエル軍に射殺されたことを受け、パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスなどが、23日から24日にかけて、イスラエル領内に向けてロケット弾70発以上を発射した。イスラエルとパレスチナ当局者によると、ロケット弾の一部はガザの北13キロのイスラエル・アシュケロンの住宅などに着弾したが、負傷者はいない」(2008年12月25日、AFP通信)
 
ではロケット弾で、イスラエル側に大変な犠牲が出ているために、今回のガザ攻撃が行われたかのように伝えられている点については、正しいのでしょうか。それほどハマスのロケット弾はイスラエルに多大な犠牲を与えたのでしょうか。

パレスチナ側の犠牲者について述べると、2006年1月のガザにおけるハマスの政権支配以降、今日のガザ空爆直前までのイスラエルの攻撃によるガザのパレスチナ人死者数は、446人です(英ガーディアン紙)。一方のイスラエル側は、ロケット弾でどれだけの犠牲者を出したのでしょうか。
 同じ時期、2006年1月以来、今日のガザ空爆直前までのガザからのロケット弾によるイスラエル人の死者数は、イスラエル首相官邸ホームページを見ると次のとおりです。http://www.pmo.gov.il/PMOEng/Communication/IsraelUnderAttack/attlist.html(場所の名前をクリックすると、詳細が表わされます)
 2006年11月21日 1人
 2007年5月21日 1人
    5月27日 1人
 2008年2月27日 1人
    5月12日 1人
    計 5人  
このほか迫撃砲により2004年から2008年12月までに2人が死亡しているということです。また同時期の負傷者数は、同じイスラエル首相官邸のホームページでは1人でした。特筆すべきは、イスラエル空爆までの半年間に、ハマスのロケット弾による死者は1人も出ていないということです。

ロケット攻撃がイスラエル人にとって恐怖でないと言うつもりはありませんが、それを記事にするなら、大勢の犠牲者を出し続けたイスラエルのミサイルや砲撃、爆弾にパレスチナ人がどれほどの恐怖を抱いてきたかについても言及すべきでしょう。パレスチナ人446人が殺害されているときにイスラエルのロケット被害が5人であった情報を得ることは困難ではありません。イスラエル首相官邸のホームページを見ればいいのですから。それなのにハマスのロケット攻撃がイスラエルをガザ全面攻撃に踏み切らせたと解説するのは正しいのでしょうか。パレスチナ側に千人近い犠牲者を出さなければならないほどの被害をイスラエルは受けたと言えるのでしょうか。
「ロケット弾攻撃を繰り返し、イスラエルの攻撃を招いた」という解説、すべてハマスがまいた種、責任はハマスにあるといわんばかりの解説を、大手メディアが行っていいのでしょうか。

さらに言えば、ガザの報道をするときに、そもそもなぜこんな問題が起きたのかを、きちんと解説するメディアが非常に少ないことは、残念です。この間のガザ封鎖がどれほど非人道的なことで、人々はどれほど追い詰められた生活をしていたか、1967年から始まるイスラエルによる占領支配、そしてさらに1948年のイスラエル国家建設とパレスチナ難民発生(アラビア語で「大惨事」を意味するNAKBAという)から問題を説き起こす記事が非常に少ないのにも驚かされます。
ガザの犠牲者たちのことを正しく伝えなければならないメディアが、攻撃する側に追随したと思われても仕方ない報道をし、しかも問題の原因を無視している状態では、情報を受け取る側は、正しい判断ができなくなると思うのです。このような状態では、攻撃による被害者をどのように報じようと、大手メディアはイスラエルの攻撃と殺戮をどこかで後押ししているといわれても仕方がないのではないでしょうか。

ガーディアン紙の報道(2009年1月12日GMT7時49分)によるとパレスチナ人死者は少なくとも884人(うち半分は女性と子ども)、イスラエル人死者は13人(うち市民は3人)となっています。

この文章は、DAYS JAPANブログに掲載するとともに、メディア各社報道部・外信部にファックスさせていただきました。



2009年1月12日
DAYS JAPAN編集長 フォトジャーナリスト
広河隆一
posted by デイズジャパン at 17:27| Comment(25) | ガザ空爆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月10日

米国上院、イスラエルのハマスとの戦いへの強い支持を表明

ハアレツ紙 2009/1/8 
WATCH: U.S. Senate voices strong support for Israel's Gaza battle against Hamas   http://www.haaretz.com/hasen/spages/1053951.html より抜粋

木曜日、米国上院はガザの対ハマス武装勢力とのイスラエルの戦いへの強い支持を表明した。一方ハマスがイスラエルにこれ以上ロケットを発射することを防ぐ停戦を求めた。委員会は民主党と共和党の指導部がともに押した、強制力のない決議に(声での)投票をおこなうことで合意。「この決議を通す時、米国上院はガザからの攻撃に対して自衛する動かしがたいイスラエルの権利、それにわれわれのイスラエル−パレスチナ和平協議への支持を再確認して、イスラエルとの歴史的絆を強めることになる』 民主党ネバダ州選出ハリー・リード上院議員は投票前に述べた。また、『もしいま、米国にトロントからロケットや迫撃砲が飛んできたらどういうことか、想像してみて欲しい。我が国はどう、対応するだろうか?』とも述べた。下院も類似した決議をとおすだろうと見られている。
この13日間のパレスチナ人の死者は700人。イスラエル人は11人が死亡、うち8人が兵士、そのうち4人は仲間内の誤射によるもの。

(訳:青柳 泉)
posted by デイズジャパン at 01:58| Comment(2) | ガザ空爆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月09日

国連:イスラエルは避難させたパレスチナ人を爆撃

ガーディアン紙 2009/1/9 Israel shelled Palestinians after evacuating them, UN says http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/09/gaza-palestinians-israel-evacuees-zeitoun より抜粋

国連:イスラエルは避難させたパレスチナ人を爆撃
避難した人で満杯の家での30人の殺害は、ガザでの作戦開始以来「もっとも重大な事件のひとつ」

OCHAが集めた証言によれば、ガザ南西部のゼイトゥーンのある平屋に、110人を避難させたイスラエル軍は、安全のため中に留まるように指示。しかし24時間後、家を爆撃した。避難したいた人のうち、半数が子ども。またOCHAの報告はイスラエル軍が負傷者を運ぶために医療チームが現場に入るのを拒んだとしている。イスラエル軍スポークスマンはAFPニュースに対して「確認の第1段階にあたり我々はこの事故については聞いていない。調査は始めたが、まだ何もわかっていない」と述べた。イスラエルによる軍事作戦開始以来、750人のパレスチナ人が死亡している。ガザの人口の半分は子どもである。パレスチナ自治政府は犠牲者の42%が子どもと述べている。ユニセフは開戦後の10日間で少なくとも100人の子どもと未成年が死亡したと発表。犠牲者数を数えるスタッフを病院に置いている「人権のためのパレスチナセンター」は、160人以上としている。

(訳:青柳 泉)
posted by デイズジャパン at 22:29| Comment(1) | ガザ空爆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

イスラエルのAnarchist Against the Wallによるダイ・インの映像

逮捕されるまで3日間続いたそうです。

http://www.youtube.com/watch?v=WpeC7P-2LfU)
posted by デイズジャパン at 21:44| Comment(0) | ガザ空爆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ガザ地区から医師の報告翻訳

以下は中央ヨーロッパ時間の1月6日(火曜)午前9時半にドイツ紙『南ドイツ新聞』の電子版に掲載されたものの翻訳です。インタヴューの正確な日時が不明ですが、内容からしてガザの現地の5日(月曜)の夜中あたりだと思われます。ガザには外国人記者が入れないため、地上戦開始下の病院からの医師の報告として貴重なものと考え翻訳しました。この翻訳は「訳責;梶村太一郎/ベルリン」と明記された上で、どしどし転送して下さって結構です。

原文;http://www.sueddeutsche.de/politik/752/453443/text/
ここではギルベルト医師の写真も掲載されています。

以下翻訳、( )内は訳注。
ーーーーーーーーーーーー
(見出し)ガザ地区の市民犠牲者「私たちは次から次へと切断手術を続けている」
(記事リード)イスラエルの地上進攻の開始以来市民の犠牲者の数は急増している。ノルウェー人のマッズ・ギルベルトは、現在ガザ地区に滞在している唯一の西側の(欧米の意味)ふたりの医師のひとり。ギルベルトはドラマチックな報告をした。

インタヴュー;トーマス・アウ゛ェナリウス記者(人物解説)マッズ・ギルベルト(MadsGilbert)61歳、は麻酔医でノルウェーのトロムソ大学教授。彼は新年から同僚の同僚の外科医エリク・フォッセ(ErikFosse)医師とともにガザ市のシーファ(Schifa)病院で手術をしている。ふたりはNorah (原文;Norwegian MedicalSolidarity Organization Norah)の会員である。

【インタヴュー始まり】
南ドイツ新聞(以下SZ);ギルベルト博士、ガザの情況はどうですか。

マッズ・ギルベルト(以下MG);今夕の情況はドラマチック以上のものだ。激しく爆撃されている。この48時間は大変に厳しかった。
ガザ市の野菜市場への攻撃で多数の死傷者が出た。今日病院に運ばれた210人の負傷者の内だけでも35人が救急部門で死亡した。死者の内で18人が9歳以下の子供たちだ。
私たちは次から次へと切断手術を続けている。廊下は切断手術を受けた患者でいっぱいだ。私はすでに手術をいくらしたか数えられない。

SZ;犠牲者のうち子供と女性はどれくらいでしょうか。

MG;今日、私はひとりの子供の手を切断手術した。この子は家族のうち11人を失っている。私たちのところに九ヶ月の赤ん坊がいるが、この子の家族は全員がイスラエルによって殺された。市民の犠牲者の数は急激に増加している。月曜日の晩には死者は540人、負傷者は2550人だった。死者の30パーセントと、負傷者の45パーセントが女性と子供だ。これまでで、子供の死者は117人、負傷者は744人だ。

SZ;救助隊の作業はどんなに危険ですか。

MG;今日は救急車二台が襲撃された。二人の救助隊員が殺されたが、彼らは狙われて攻撃されている。シーファ病院の隣のモスク(イスラム寺院)が空襲された。そのため病院の窓ガラスがすべて割れてしまった。今は外の気温は摂氏7度だから患者全員が震えている。医師や看護人ももちろん同じだが。これら全てが理解を絶することだ。

SZ;病院の職員の情況はどうでしょうか。

MG;ひとつだけ強調したい。この病院には現時点で、医師、看護人、ボランティアが50人いる。私たちは爆撃音を聞きながら、負傷者を満載した車を待っている。私はこれまでに、彼らパレスチナ人の医師たちと助手たちほど献身的な働きをする人間を見たことがない。

SZ;あなたはハマスの戦闘員も治療しますか。

MG;その質問は適切ではない。私たちはここで医師として誰でも治療する。わたしたちはイスラエルの兵士にもそうするだろう。しかし、私は何百人もの患者を診たが、その内でハマスの戦闘員はたったふたりだけだった。

SZ;何が最も緊急に必要でしょうか。

MG;とりあえず緊急なのは、爆撃を停止し、イスラエルが境界の通路を開き、食料と燃料をガザへ運ぶことだ。

SZ;あなた自身は安全ですか。

MG;150万人のパレスチナ人が、この世界最大の牢獄に閉じ込められている。彼らは恐れてはいない。なぜ私たちが恐れるべきだろうか。

SZ;あなたはどのようにしてガザ地区に入り込んだのですか。

MG;私たちは元旦にラファ(Rafah)経由で入って来た。ノルウェー政府がエジプトの指導部に非常に大きな外交圧力を掛けたのだ。そのおかげで入って来れた。私はなぜ他の西側の医師たちが来ないか疑問に思っている。世界はここで何が起こっているかを見ることが出来ない。私たちだけが西側の代理人だ。私たちは、援助すべき医師なのだ。それと同時に私たちは世界中のメディアに電話で情報を伝えなければならない。同僚とここへ来ていらい、私たちは
時間を忘れて働いている。あの音が聴こえますか。また爆撃されている。ここで話しを終わりにしなければなりません。

(インタヴュー終わり。翻訳以上)
「訳責;梶村太一郎/ベルリン」
posted by デイズジャパン at 21:43| Comment(0) | ガザ空爆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする