2014年04月08日

日本からトルコへの原発輸出〜トルコから日本の国会議員に送られた手紙

DAYS JAPAN は2013年8月6日、68回目の原爆の日に合せて、ヴェトナム、インド、トルコの主要紙に日本からの原発輸出に反対の意志を示す意見広告を掲載しました。

Viet Nam News 掲載分20130806.jpgP1010328.JPG

日本からの原発輸出対象国のひとつ、ヴェトナムの主要紙である Viet Nam Newsに掲載された意見広告は「厳しい言論統制をひくヴェトナムの国営メディアが、国策に反するような内容を掲載するのは極めてまれ」という共同通信の配信により、日本国内のみならずミャンマーの国営英字新聞であるNew Light Of Myanmarにも掲載され、政府による情報の制限がある両国でのDAYS JAPAN の意見広告の掲載に、多くの驚きの声を頂きました。

The Hindu スクリーンショット (960x720).jpg

また、同じく原発輸出の対象国であるインドの主要紙 The Hindu のHPにも意見広告を掲載。

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そしてトルコの主要紙Hürriyetには現地の方に読んで頂くためにトルコ語で掲載し、トルコのテレビ局から問合せの電話も入りました。

そのトルコで100近くの市民団体が加盟する「トルコ反原発同盟」がトルコとの原子力協定に反対することを求めるレターを日本の国会議員宛に出したと、FoE Japan からメールが送られてきました。以下、FoEが和訳し、参議院の外務・防衛委員会委員21名に送られた手紙の全文です。
(長文のため、読みやすくなるよう途中段落をいれました)


2014年4月4日
トルコ、イスタンブール
国会議員各位

私たちトルコ反原発同盟は、日本・トルコ原子力協定の撤回を求め、
以下の手紙と団体署名を提出します。

敬具
トルコ反原発同盟

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トルコ、イスタンブール

日本国国会議員の皆様

2013年5月、日本とトルコは黒海沿岸西部のシノップに原子力発電所を建設する
ための協定を締結しました。三菱重工業とアレバ社が共同建設することになって
います。また、2010年にトルコは、アックユに原発を建設するための協定をロシ
アとも結びました。ロシアメーカーの「建設・所有・運営モデル」は原子力エネ
ルギー産業では稀であり、安全に関する様々な問題を投げかけています。

現在のトルコは原発建設に前のめりになっており、福島やチェルノブイリのよう
な原発事故が発生した場合に引き起こされる、社会・環境に対する様々な問題を
考慮していません。とくに、トルコの国内政治・経済に内在する対立、科学技術
・安全規制の分野における非効率性、専門家の不足などは、原発建設・運転に関
する大きな脅威となっています。トルコは日本のような地震国でありながら、日
本のような地震対策がありません。また、日本とは文化が異なり、リスク管理の
態度も違います。これらの諸要因は、トルコで原発を運転するリスクを非常に高
くしています。

私たちは、日本国国会議員の皆様にトルコとの原子力協定を撤回することを要請
し、以下に理由を説明します。

まず第一に、トルコは民主主義社会ではなく、現政府により独裁主義的支配が進
んでいます。持続可能なエネルギー政策を考慮せず、国民と議会の声を無視し、
一方的に原子力を推進する政府の行動は、公正発展党(AKP)による民意無視の
政治手法を体現するものです。

トルコ国民の多数は、原発・核兵器に反対しています。IPSOSが2011年4月に
実施した「福島原発事故に対する世界市民の反応」調査によると、80%の
トルコ国民が原子力反対を表明しています。しかし、トルコ国民とNGOは、
政府に働きかけるための民主主義的チャンネルを持っていません。
ジャーナリスト保護委員会の調査によると、ジャーナリストが投獄される
確率が世界で一番高いのは、2013年より2年連続でトルコとなっています。
(イランや中国よりも投獄の確率が高いということです。)

トルコに言論・集会の自由がないということは、民主主義が機能するために
必要な民意の役割を、トルコの政治エリートが度外視していることを意味し
ます。エルドアン首相は、「権力分立は障害でしかない」という趣旨の発言もし
ており、彼の専制的指導のもと、公正発展党は政策決定を独断的に進めています。
原発に関する協定交渉が素早く進んだのも、専門家や科学者の意見を十分に聞か
ずに政府が意思決定をしたことが理由です。

このような状況で、政府が国民の反対意見に耳を傾けることはありえません。
反対意見を表明する国民は、政府に「国賊」と呼ばれ警察により排除されます。
また、警察による不必要な暴力行為はエスカレートしてます。
2013年6月にゲジ公園近辺で行われたデモンストレーションに警察が介入した際には、
3000人以上が逮捕、8000人以上が障害の残る重傷、そのうちの一人の10代の少年は
いまだ意識不明、12人が視力を失い、11人が命を落としました。
これがトルコの「民主主義」の現実なのです。

昨年のトランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗認識指数でトルコは
177か国中53位にランクされましたが、この後、トルコ政府要人による複数の汚
職事件が明るみになりました。2013年12月17日から汚職事件の調査が始まりまし
たが、トルコ政府の透明性や責任性が向上することは期待できません。(公正発
展党内部の権力闘争が、汚職事件調査の動機になっているからです。)

そして、汚職事件調査が続くなか、外交・原子力協定などの交渉のために
エルドアン首相は日本を訪問したのです。政府に批判的なジャーナリストは
メディアから締め出されているため、トルコ国民に首脳会談の内容が十分に
知らされることはありませんでした。
余談ですが、2013年5月に日本・トルコ原子力協定に署名したエルドアン内閣の
大臣のうち4人は、汚職事件により12月に辞職しています。

地震国であるトルコに建設される予定の原発の安全性を確保することは、トルコ
政府だけでなく、日本政府の責任でもあります。トルコは原発の安全性を確保す
るために必要な財政、法制度、人材、技術が十分にありません。トルコは、ロシ
アと日本の2つの異なる国と何十億ドルとする原発建設の協定を結んだだけでな
く、アックユとシノップに建設される原発は新しいデザインの原子炉を使用する
ことになっています。(この状況は、原子力産業にとっては非常に珍しいケース
です。)

原発以外の大規模な公共事業と合わせると、トルコ政府の財政赤字は過去最高に
達する見込みです。公正発展党は選挙での支持を伸ばすために、議会による
規定の予算審査過程を回避することで2012年と2013年の予算を通しました。
もちろん、トルコ国民は原発の本当の経済コストを知りません。

長年トルコでは、原発の環境に対する影響を憂慮するNGO、労働組合、環境団体、
地域住民が、デモや署名活動などを通して運動を展開してきました。またNGOは、
原子力協定に関する法案に対して裁判を起こし、高等裁判所で勝訴を勝ち取りま
した。

しかし、エルドアン内閣は、国内法案ではなく国際協定という形式に切り
替えることにより、原発建設をトルコの裁判所の所轄外にしたのです。
このため、原子力に関する国際協定が議会で一度批准されてしまうと、
原発訴訟を起こすことが不可能になります。実際に、2014年1月9日の議会で、
原子力協定は全く議論されることなく批准されました。

以上のような政治状況に加え、トルコは原子力を推進するのに必要な制度・イン
フラが整備されていません。原発建設を進めるには、トルコ原子力委員会
(Turkish Atomic Energy Authority)の建設・運転許可が必要なのですが、
原子力委員会は原子力安全規制の仕事も同時に担っています。

ロシアメーカーRosatomとATMEAがアックユ原発に使用する予定の原子炉は
新しいデザインであるため、安全審査の先例・ガイドラインが不足していたの
ですが、それにもかかわらず原子力委員会は建設を早々と許可しました。
ロシアメーカーは、建設に関する環境アセスメントも行わず、
「メルスィン市長から採石の許可が下りている」
という理由で、原発建設現場付近の森林伐採をすでに始めています。

トルコ原子力委員会は、チェルノブイリ原発事故の際に、国民の健康と安全を守
るための十分な措置を取りませんでした。現在に至るまで、チェルノブイリ事故
で引き起こされたトルコ国内の放射能ホットスポットの地図は作成されていませ
ん。そんな中、チェルノブイリ事故に起因するガンが、トルコの若い世代の間で
増加しています。

また、原子力委員会には、IAEAの基準に見合う規制を実行するだけの独立性も
専門性もありません。政治的に内閣に従属し、推進と規制の二面性を持つことから
利益造反を引き起こしています。2007年には、トルコ第3の都市イズミルの
スクラップ工場で、密輸入された使用済み核燃料棒が発見されるという事件も
起きています。しかし、原子力委員会は周辺住民の放射線防護のために責任を
もって行動することを拒否し、スクラップ工場を鉄条網で囲むという措置しか
施しませんでした。

また、原子力協定はトルコに新たな外交・防衛問題を突き付けようとしています。
第二次世界大戦以降、トルコは近隣諸国と平和な関係を保ってきました。建国者
たちのモットー「平和なトルコ、平和な世界」は、長年トルコの外交政策の支柱
でした。しかし、公共発展党のシリアに対する行動に見られるように、現政府の
外交政策はこのモットーから逸脱しつつあります。日本とトルコの原子力協定は
「原子力の平和利用」を掲げていますが、トルコを中近東の国々のためのプルト
ニウム輸出国にしてしまう危険があるのです。

放射能は国境を知りません。チェルノブイリと福島の原発事故の本当の被害状況
がまだ把握できないなか、原発をトルコに輸出しようとするロシアと日本の行動
は道徳に反するものです。なによりもトルコの政治家は、国民の声を無視し自分
たちの利益を追求した結果、汚職事件に見られるように正当性を失っています。
このような状況で締結された原子力協定を将来の世代に押し付けるのは無責任で
あり、ロシアと日本との原子力協定は中止されるべきです。もしも中止されなけ
れば、トルコ国民は次の選挙を通して原子力協定反対の民意を示すでしょう。

この手紙を読むことで、日本の政治家の方々にトルコの実情を理解していただけ
たら幸いです。また、日本の経済界の方々にも、現在の日本とトルコの経済協力
は、不安定な政治状況の中で進められていることを理解していただきたいと思い
ます。私たちは、日本国国会議員の皆様が、以上に説明したトルコの実情と、福
島原発事故被害がまだ収束していないという現実を鑑み、日本・トルコ原子力協
定を批准しないことを願っています。

長期的な視点に立ち、トルコとの原子力協定批准を拒否することは、人々の健康を
優先した英断として将来評価されることでしょう。美しい地球、民主主義、平和を
実現するために、私たちとともに行動してくださることをここに請願します。

トルコ反原発同盟



普段あまり知る事ができないトルコの状況がわかる、
貴重な文章だと思います。ぜひ、お読みください。

どうぞ宜しくお願い致します。

営業部
佐藤典子



posted by デイズジャパン at 13:05| Comment(0) | 営業部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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