というと語弊があるかもしれませんが、デイズがデイズの誌面で発表しているような、デイズが心から出したいと思う写真を、すべて思い切り展示させていただける施設が、日本の中からどんどん減ってきています。デイズはずっと、たくさんの多くの方のご協力やご支援のもと、写真展を開催してきました。今年も、ありがたいことに開催の予定をいただいています。
しかしです、展示の場所が公共の場であったり、展示会場さまとの企画の折衷のなかで、どうしても「死体の写真は避けてほしい」「血が流れている写真はちょっと……」「この話題の写真は厳しいです」といったような声をいただくことも、確かにあることです。
デイズは毎年、デイズ国際フォトジャーナリズム大賞という、フォトジャーナリズムのコンテストを開催しています。ここには、世界中からさまざまな命の危機や、生と死のはざまで生きる人々の姿などが送られてきます。ジャーナリストたちも、命をかけてこれらの写真を撮影しています。写真は、直視しにくいものもたくさんあります。子どもが犠牲になり、血を流し、自然が悲鳴をあげています。
今年の受賞作品が先日、決定しました。毎年、これらの写真は誌面で発表し、全国で展示していますが、今年はまだ、受賞作品すべてを展示させていただける場所を、私たちは探すことができていません。
美しい自然、キラキラとした人々の営み。これらを讚え、伝えることももちろん立派なジャーナリズムだと考えます。でも、命の戦場をきちんと伝えることも、私たちの使命です。人や自然の尊厳が奪われていることを告発する。デイズはそれを、写真で伝えるということでなしていこうと考えてきました。だから、写真展の会場を見つけらないということ、原発の問題もそうですが、発表をする場所が少なくなっていることに、危機感と悔しさを覚えます。とはいえ、すべての人々にこの写真をみてくださいと強制することなどが私たちにできるはずがありません。だから、そっとページを閉じたり、展示の前から離れていただいても構わないと思っています。
デイズ創刊号の表紙には、銃弾で脚を切断されたイラクの少女が掲載されています。見るのが辛い写真です。でも、繰り返しになりますが、私たちもあの戦争を支援したのです。パレスチナもアフガニスタンも、事故の影響が隠されている福島も、沖縄の問題も、私たちは決して無関係ではないはずです。
発売中の4月号(10周年記念号)をぜひお読みください。私たちといま起きているさまざまなできごととのつながりが、少しだけ分かっていただけたらと思っています。(丸)