2014年01月08日

【封印された鑑定テープ〜永山則夫が語った100時間】DAYS JAPAN 1月号

『1969年、19歳で4人を射殺して逮捕され、48歳で死刑に処された永山則夫。
高度成長期の只中、事件は無知で貧しい少年が引き起こした悲劇という物語に回収され今に伝えられてきた。20年にわたった裁判も、少年が抱えた心の闇に迫ることはなかった。
彼の死刑執行から15年目の昨年、ある精神鑑定の記録が明らかになった。
そこには、「金ほしさ」という少年の犯行の動機について再考を促す数々の事実が刻まれていた』

1月号【封印された鑑定テープ〜永山則夫が語った100時間】本文より

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何かが起きると、人はそれぞれの推測で当事者や事件そのものに言及し、批判します。
その翌日にはもう、違う他人や違う事件のことを話題に。
いったい、どれだけの人が事実の背景を正確に見つめる努力をしているでしょうか?
特に忙しい現代社会では、真面目に他人を気に掛ける人は僅かです。

NHK ETV特集「永山則夫100時間の告白」のディレクター堀川恵子氏は、
それを正確に見つめようとした稀有な人物。
事件が起きるまでの一連の流れと背景は当事者以外に語れないことを、
番組を通して見事に証明してみせました。
1月号【封印された鑑定テープ〜永山則夫が語った100時間】
その堀川恵子氏によるものです。

永山則夫の「金欲しさ」という動機に納得のいかなかった堀川恵子氏は、
彼の日記を読んだ際「テープを前にして問診」という記述を見つけ、
当時鑑定にあたった石川義博医師に面会を重ねること、実に2年半。
彼女の熱意に負けた医師は、文字通り墓まで持っていく覚悟で保管していたテープを
「第2の永山を生まないため役立てるなら」と彼女に託す。

278日間にわたる鑑定。永山が語る過去はあまりにも壮絶。

『父は博打で放蕩し、母は子ども8人を食べさせるために行商に明け暮れた。
家事の一切を担わされたのが、長女セツ。・・・・

それから母がとった行動は非情なものだった。
冬が来る間際の1953年10月下旬、足手まといになった子ども4人を捨てて
実家のある青森へと引き上げたのだ。一番幼かった永山は当時4歳。
零下30度の真冬の記憶が淡々と語られる。・・・・

ゴミを漁り、港に落ちた小魚を拾い、飢えを凌ぐ子どもたち。
隙間だらけのバラックの家で、泣いてばかりの末弟に兄姉たちみんなで暴力をふるい、橋の袂(たもと)に捨てたりもした』

1月号【封印された鑑定テープ〜永山則夫が語った100時間】本文より

昭和20〜30年代の「貧乏」を想像するのは、少し難しい。
ネットも携帯も無いのはもちろん、洗濯機や冷蔵庫も普及していない。
殆どの人間が切り詰めて生活する中で、更に「貧しい」とは、どんな状況か?

その過酷な状況を唯一救ってくれるはずの、
家族や隣人の愛情さえも完全に欠如したとき、私たちは
それでも「まっすぐ生きていける」と言い切れるだろうか?

『家庭は究極の密室だ。妻が夫に向けられない憤懣を、
家の中で一番立場の弱い子どもにぶつける現象は珍しくない。・・・・

一人を孤立させることで他の者が結束を強める、
いわばイジメの集団心理とも似ている。
永山が成長するにつれ母の暴力は、
徹底した無視(ネグレスト)へと姿を変えていく』

1月号【封印された鑑定テープ〜永山則夫が語った100時間】本文より

ここに現代社会と全く変わらぬ構造がある。
他者を批判し弾劾するのは、たやすい。
しかしその行為は、いつか巡り巡って、思いもよらぬ形で暴発し、
新たな犠牲者を生み出す土壌となることを、私たち皆が自覚しなければいけない。

横須賀基地で偶然、護身用の拳銃を手に入れた永山は、
東京と京都で警備員を射殺し、函館と名古屋でタクシー運転手を射殺する。

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『永山少年を事件へと向かわせたのは、貧しさではなかった。
そこにあったのは、両親、兄弟、家族、友人、教師、そして福祉という
ありとあらゆる人間や事象との関係性の貧困である。・・・・

司法は、その不都合な真実に向き合うことなく、
ひとりの人間の更生を、償いの芽を、死刑という刑罰で断ち切った。
そして社会は、悲劇を自己責任で片付け、忘れ去り、
そこから教訓を何ひとつ学びとらなかった』

1月号【封印された鑑定テープ〜永山則夫が語った100時間】本文より

第13回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」文化貢献部門に選出された
堀川恵子氏による記事【封印された鑑定テープ〜永山則夫が語った100時間】は、
あまりにも重く、深く、切ない。

苦闘に満ちた一人の人間の人生が、
わずか8ページの中でこんなにも身近に感じられるのは、
永山という人物のみならず、「人間」という存在に対する
堀川恵子氏の深い愛情が込められているからだろうと、私は感じています。

ぜひ、本誌にて全文をお読み下さい。

営業部
佐藤典子






posted by デイズジャパン at 16:41| Comment(0) | 営業部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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