DAYS JAPAN 10月号では水俣病の記録の第一人者である桑原史成氏の「水俣事件」を8Pにわたり掲載している。

『新日本窒素肥料株式会社(現JNC株式会社)が、海や河口に流したメチル水銀が引き起こした水俣病。患者と家族は恐ろしい病気との闘いのみならず、世間の偏見と差別、そして原因企業や行政との苦しい闘いをも強いられてきた。この未曾有の惨事に、記録者として対峙した桑原史成は、この強大な敵に、大きさを測ることもせずに夢中で飛びかかっていった』
DAYS JAPAN 10月号「水俣事件」リード文より
「水俣事件」の見開き最初のページから、
画面の中に引きずり込まれるような臨場感があります。
隙間だらけの壁は古新聞で覆われ、
画面左奥に耳をぎゅっとふさいで母を見つめる少女が立っています。
擦り切れた畳、うだるような夏の午後でしょうか。
画面の右端には、うつろで苦しげな表情を浮かべる女の子が父親に抱かれています。
『初産で胎児性水俣病の子を持った母は
「こん子は私の宝子です。私の身体から水銀を吸い取ってくれた。
おかげで、あとの6人の妹弟たちは元気だし、私の症状も軽くすんどるとです」と述べた。
宝子の上村智子は、終始自宅で両親に介護され、21歳6か月で他界した。
最初に取材に訪れたときの上村の居間。水俣市・月浦出月の借家。1960年7月』
DAYS JAPAN 10月号「水俣事件」キャプションより
桑原史成氏が半世紀をかけ撮影した、3万コマの中から選び抜かれた「水俣事件」の写真は、昭和の時代に水俣に生きた人々が、すぐそこにいるかのごとき鮮烈さで迫ります。P45にある西村幹夫氏が書いた桑原氏による撮影のいきさつも含めた文を読むと、さらに当時の水俣への関心が深まります。
かつて桑原氏が撮影した人々が、2011年5月1日に、
自身の写った写真を手に並ぶ一枚が最後の見開きページにあります。
この写真の中に写し取られた一人ひとりの人生の苦難を想うとき、
経済のために人を踏みにじることも辞さない社会の残酷な一面に、
虚ろで巨大な暗闇に、思わず身震いがしてきます。
同時に、50年以上の時間を耐え抜いてきた人々の芯の強さを想うと、
まるでひ弱な自分が恥ずかしく、いまは言葉もありません。
桑原史成写真集「水俣事件」は9月24日発売。
http://goo.gl/zhpkyj
また、水俣市でDAYS JAPAN 10月号がご購入いただけるのは、
・ブックシティ一心堂 0966-68-9268
・水光社エムズシティブックセンターリリーズ 0966-68-2188
水俣事件と福島第一原発事故の被害者への対応の共通点については、
DAYS JAPAN 2012年12月号【衝撃の原発事故シミュレーション】
P46に掲載されたおしどりマコ・ケンの第13回「実際どうなの!?」を、
ぜひお読み下さい。
お申込はinfo@daysjapan.net またはお近くの書店でのご注文で。
どうぞ宜しくお願い致します。
営業部
佐藤典子
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