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以下、宮西さんからの感想です。
どのご著書の出版記念会の席上だったでしょうか、
「チェルノブイリに関わる人はパレスチナにも関心を持ってほしい、
パレスチナに関わる人は、チェルノブイリにも目を向けてほしい」と
広河さんが語られたことを覚えています。
素直に、その直後、『破断層』を読んだのですが、
その頃、パレスチナについてまるで無知でした。
今、「知っている」とはとてもいえないけれど
広河さんの写真パネルを預かって10余年、
語られる地名の位置を地図上に特定することができるようになり、
難民キャンプそれぞれの実情などもそれなりに知ってきて、
写真展開催のご相談にも乗れるようになりました。
この時期に、『破断層』の再読ではなく
改訂版『帰還の坑道』に出会えたことを幸いと受け止めています。
ノンフィクションでは伝えられないことがある、
と広河さん自身がどこかに書いておられましたが「伝えられないこと」とは、
つまり人としての思い感情なのではないでしようか。
ルポなどに代表されるノンフィクションは、
ある意味徹底した客観性を前提にするわけですから、個人の「思い」の入る隙はない、
というより個人の感情を拒否した「報告」になるのだと思います。
しかしパレスチナに限らず、そこに生きる人たち、
取材対象であるその人たちの隣に身を置き、その悲しみ怒りに寄り添うことを、
むしろ優先してこられた珍しいジャーナリストである広河さんには、
ご自分の感情を押えた「報告」は苦痛だったのではないかと憶測します。
この『帰還の坑道』には、すみからすみまで、生々しい人の息、感性があります。
まるで恋愛小説のように。
それだけにパレスチナの事実がひとしお読む者の心に伝わってくるのではないでしょうか。
それにしても、広河さんは、たしかにジャーナリストなのでしょうが、
明らかにアーチストだと思わざるを得ません。
この表現力。語彙の豊かさだけでなくそれを駆使される才は天賦のものに思えます。
カメラではなく、言葉を使ってのこの表現は何にもましてアートだと、
強く思わせられた一冊でもありました。
宮西さん、いつも有難うございます。
本当に、わが編集長ながら、これほどの文才に恵まれているとは。
その場にいるかのような緊迫感の伝わるチェルノブイリや福島の報告で、
広河の文章を読みなれていた私ですが、悠久の歴史に流れる民族の心を、
簡潔な一文にさらりと書きこめていることに驚きました。
これまでにこんなにも物語としてリアルに、しかも壮大なテーマに押しつぶされない正確な状況描写で、パレスチナ難民キャンプ、レバノン、シリアを舞台とした小説はあったでしょうか?
ぜひ、皆さまも感想をお送り下さい。
「帰還の坑道」のお申込みは以下のアドレスまで。
info@daysjapan.net
どうぞ宜しくお願い致します。
営業部
佐藤典子
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