2012年06月19日

2012年7月号 編集後記

 つい最近、小学校の通知簿が出てきた。1年生の時のものだ。そこには「独善的な性格を改めることが必要」という担任の言葉が書いてあった。いまどきこんな言葉を小学一年生の通知簿に書く教師はいるだろうか。それから半世紀以上たった。反省は、日々の行動で実行することにする。
 DAYSは8年間続き、この号は通巻101号となる。今回の特集は「いま問われる写真の力」。おりしも東京では「世界報道写真展」が開催されている。さすがにすごい迫力ある写真が並び、人々は言葉を失って見入っていた。銃弾をかいくぐるレンズは「暗閣の中の私たちの目」(審査委員長エイタン・サリバン)だと書いた天声人語(2012年6月10日付朝日新聞)は、次のように続ける。「闇の実相を命がけで伝える目があって、みじめに転がる子どもや女性は『物言う遺体』となる」。本号の特集で書ききれなかった重い言葉がここでは語られている。
 いまDAYSが取り組んでいる、福島の子どものための保養センター「沖縄・球美の里」は、7月5日に久米島で第一次保養を開始する。DAYSの読者を中心とした数多くの人々が、この大事業に関わってくださっている。特に久米島の人々には感謝の言葉もない。
本土が沖縄に押し付け続けている支配の歴史と米軍基地。それらを解決しようともしない本土では昨年原発事故が起こった。被害者たちに真っ先に支援の手を差し伸べてくださったのは沖縄の人々だった。久米島は先の大戦が終了した後も、日本軍に地元の人が処刑され続けた島だった(「久米島の戦争」なんよう文庫、「沖縄住民虐殺」佐木隆三・徳間文庫)「経済成長や安全保障といった共同体全体の利益のために、誰かを『犠牲』にするシステムは正当化できるのか」(「犠牲のシステム 福島・沖縄」高橋哲也・集英社新書)。福島の子どもを助ける運動は、具体的に沖縄の基地を本土が引き受けるか、沖縄から基地を撤去させるための運動とつながってはじめて本当の意味を持つ。(広河)
posted by デイズジャパン at 11:18| Comment(0) | 編集長便り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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