川端康成の『雪国』ではありません。
広河隆一のアフガン取材です。
“重い荷を持って雪の中を歩き、標高2500メートルの長いトンネルを越えた。胸に息が送り込めず、体が空っぽになるような感じだ。足元に瓦礫が散乱し、赤ん坊の泣き声が響いていた。ようやくたどり着いた宿は屋根が破壊され、ベッドが半ば凍っていた。翌日訪れた難民キャンプで人々は泥の床にじかに寝ていた。墓場には、子どもの小さな墓標がどんどん増えていた。”
10月7日にDAYS JAPAN 編集長・広河隆一は、昨年に引き続き5回目のアフガニスタン取材に発ちました。上の引用は11月号の編集後記からのもので、10年前の戦時下のアフガニスタンに行ったときの話です。
広河隆一が、そしてDAYS JAPAN がアフガニスタンにこだわる理由は「9.11」にあります。
“9・11 事件の後、人々の間でメディア不信が広がりました。私たちが知らなければならなかった情報の多くが、私たちの元には届きませんでした。メディアの流した情報が、戦争への道を促した場合もありました。時代は危険な方向に突き進みました。メディアを私たちの手に取り戻したい。そのような思いで、次のような雑誌の発刊を考えました。”
いまは、どうでしょうか。私たちが知らなければならない情報が届いているでしょうか。アフガニスタンのことだけではありません。日本のこともそうです。DAYS JAPAN の発刊の経緯が上記のものであるゆえに、DAYS JAPAN はアフガニスタンを追い続け、広河隆一はアフガニスタンを撮り続けるのです。
11月号では、第6回DAYS 国際フォトジャーナリズム大賞・審査員特別賞を獲得した、またDAYS フォトジャーナリスト学校の講師をしてくださった高橋邦典さんが撮影した米兵とアフガン人のポートレイト(人物写真)とインタビューが掲載されています。
アフガニスタンの問題を視るときは、どうしても「タリバン×米兵」という視点となってしまい、普通のアフガン人の実情を蔑ろにしがちです。しかし、彼らはそこで生きているのです。9.11から10年。高橋さんは10年前と同一人物にインタビューをしています。まさに10年越しの企画!!米兵とアフガン人の生活や考えがどのように変わり、変わらなかったのか。米兵とアフガン人の本音を聞くことができます。
顔は人の心を表すと言いますが、「眼」が彼らの心を表していると思います。何を訴えんとしているかは、彼らの眼を見れば分かります。


広河がアフガニスタンに立つ際、私は広河の荷物を持ち、見送りにいったのですが、本当に重かったです。でも、広河は、それ以上に重い使命を背負って取材に発ったのだと思います。
そんな広河は、23日に無事帰国しました。おかえりなさい、広河さん。
※次号12月号では、広河隆一のアフガニスタン取材報告を掲載予定です。
(営業部・都路)
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第6回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞 2010
審査員特別賞「枯葉剤の恐怖」by 高橋邦典
http://daysinternational.net/jp/award/award_2010/takahashi-2/
広河のアフガン最新リポートは電子版デイズで見ることができます。
http://daysinternational.net/jp/week/20111023/
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