2011年06月21日

編集後記(2011年7月号)

 事故は福島原発から20キロ圏や飯舘村だけではすまない様相がいよいよはっきりしてきた。インタビューに応えてくれた元喫茶店経営者の小川さんによると、年間20ミリシーベルトという途方もない基準値を適用しないと、県の人口の7割が基準値を超えてしまうという(32ページ)。おまけに体内被曝を計算に入れたら、福島県は消失しかねない。そうした場所を「安全」だと説明してきた山下俊一教授(長崎大教授・福島県アドバイザー)や、国の責任は重い。人々を「安心」させることは、事実を隠ぺいすることで可能になるのではなく、きちんとした情報を流し、対策を講じることによってこそ可能になる。「安全じゃないけれど安心しろってことですか」と「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」佐藤幸子さんは怒る。政府や電力会社が根拠なしに「安全」と言ってきたことが、事故直後からこれまで、避けられたはずの被曝を強いて、どれだけ人々を引き裂いてきたことか。
 DAYS JAPAN は事故発生当初から、子どもたちや妊婦を遠くに逃すようにと何度も訴えてきた。国がデータを隠し、住民を守らなかったことは、すでに歴然としている。この状態で「安心」したければ、目を閉じて、耳も閉じて、たとえ津波が100 メートルに近づいても、知らないふりをすることだ。しかし私たちには子どもたちを守る義務がある。子どもたちや妊婦の避難について、政府だけでなく私たちも責任を取らなければならない。もちろんそうした費用はすべて東電と国が支払うべきだ。
 旧ソ連のウクライナの首都キエフは、当時は今の福島市や郡山市よりも放射能はずっと低いレベルだったが、万が一のことを考えて、事故から3 週目には、首都のすべての子どもたちを「早めの夏休み保養」として地方に疎開させた。政府や山下教授の言うままに目や耳を閉じ続けたら、助かる命も助からない。(広河)


posted by デイズジャパン at 21:39| Comment(0) | 編集長便り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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