アメリカのブッシュ政権による「テロとの戦争」宣言を、アメリカのリベラルな人々も支持した。後に「イラクとの戦争は間違っていた」という反省の声があがったが、「アフガニスタンに対する戦争は正しかった」と多くのジャーナリストが発言するのには驚いた。ナクトウェイのような人道派のフォトジャーナリストもそうだった。日本では朝日新聞が「軍事目標に限定した爆撃はしかたない」と社説を出し、米軍の爆撃を条件付ながら支持したが、「軍事目的だけの爆撃はありえない。一般の人の犠牲が出るのが戦争だ」と抗議した女性社員が辞表を出した。日本が恐ろしいのは、メディアが反省をまったくしないという点である。
アフガン爆撃の直後に現地に行ったときには、私は入国できず、国境沿いで撮影を続けた。2度目は開戦から1か月半後の11月末。ほとんどのメディアが国境近くのジャララバードで米軍による爆撃の中継をしているのを横目に見て、私はカブールを目指した。途中で4人のジャーナリストが殺された。7人の護衛兵を雇っていたため無事だったジャーナリストもいた。私はなけなしのお金で2人を雇った。途中で銃を突きつけられ、車を止められた。助けを求めて2人の護衛兵を見ると、彼らは眠ったふりをしていた。通過できたのは今でも不思議である。すぐに北部を目指した。そこでは難民たちが救援もなしに放置されていた。あれから10年目。アフガン戦争とは何か。それを検証する動きは遅々として進んでいない。来月号では私の写真を交えて報告したい。(広河)