2010年06月20日

編集長便り(2010年7月号)

今回の「アフリカ難民と私たち」をどのように見ていただいただろうか。この取材は相当に強行軍だったが、何とか無事に帰国できた。しかし日本の冷気に当たって、すぐに風邪を引いた。それが写真の整理・構成にも文章執筆にも影響した。さらにそれらのことにほとんどの時間を取られたため、私的なことだが、高齢の母親のために割く時間が取れなかった。そしてさまざまなシグナルを見落としてしまい、母の容体を急変させてしまった。私のこれまでのやり方は、身近なところから自分の気のついていないところまで、多くのひずみや犠牲を生み出してきている。
 先日DAYSの株主総会(といっても少人数だが)があり、現状報告とこれからのことを話し合った。昨年末から今年はじめにかけて「DAYS存続キャンペーン」が成果を上げ、本誌は廃刊を免かれた。これはDAYSを支えようという皆さんのおかげである。しかしそれ以外にDAYSの自助努力が大きな成果を出しているわけではない。この時代に「これは絶対に必要な雑誌だ」と思っていただける雑誌には成長していないことを痛感している。さらにこのところ私が特集を執筆する号が多い(3月号の「普天間基地」、4月号の「ユダヤ人の起源」、そして今回の「アフリカ難民と私たち」)。これではどんどん私の個人雑誌になる危険がある。広がりと深さが足りなくなる。
 新しいDAYSを担う人材を募集したが、応募者は2人だけだった。その人々の提案については、またホームページで報告する。現在のDAYSが書店で余り伸びていないのを、自助努力が足りないといわれても仕方がない。すべて雑誌業界の危機のせいにするわけにはいかないのだ。今私は、老いた母親の介護用のベッドの横で、この編集後記を書いている。身近な命の問題も、世界の命の問題も、同じ重さで感じることの必要をかみ締めながら。(広河)
posted by デイズジャパン at 00:00| Comment(2) | 編集長便り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
がんばって下さい。>身近な命の問題も、世界の命の問題も、同じ重さで感じることの必要をかみ締めながら。

深く頷きました。いつもいつも、広河さんの言葉から、勇気と真実の大切さを頂いています。
Posted by kitazawa at 2010年06月21日 12:41
いつも誌面を拝見しておりました。
創刊号を読んで以来の読者です。

そうですね、『生きとし生けるものの命の重さは、皆一緒。ただし、「数」はある。』とは、私の写真の師匠が教えてくれた一言。
広河さんの言葉と重なりました。



悲しいニュースが舞い込んでくる度、思い出します。
そして、平和ボケしているこの日本で、世界のどこかで生じている歪みや叫び声を伝えてくれる貴誌は、とても貴重な存在です。


他人事ではなく、いつか、お手伝いできればと日々研鑽してますが、自分の生活もままならない今日この頃。
意気地無しの私には、まだ、カメラ片手に御社に駆け込むに至れません。

私の目標は、アフリカの現実を、悲しい側面だけでなく、そういった生活や政治局面の中にも、日々のつかの間の幸せも、平等に写し撮りたい。
それらを、現地の人々の視点で捉えて写真で世の中に伝える事です。


現地に住み、現地の言葉を覚え、生活を共にして日々を切り取れるための軍資金や機材、諸々を携えていくには、足りないものだらけです。

ですが、いつか、でもなるべく早くに向うに渡りたい。

そんな自分を、良い意味で焦らせてくれるのが、貴誌「DAYS」、です。

これからも、宜しくお願い致します。

例えば、電子書籍というものに形を変えてでも、続けて欲しい。
Posted by studio-8ch. at 2010年07月07日 16:56
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