これまで島の人々は、孤立した闘いを続けてきた。「海を守りたい」という純粋な動機からだった。かつて原発で働いた経験のある島民が、原発の危険性を説いて回ったことも影響したという。
しかしこの人々の闘いは、県外に伝わることはほとんどなかった。巨大メディアは、これまでこの祝島島民の反対運動のニュースをほとんど全国に広めてこなかった責任をどうとるつもりだろうか。自分たちの大株主に電力会社がいるからだという説明を、島民の目をまっすぐ見て告げることができるのか。それとも他に理由があると言えるのだろうか。
今回DAYSは、祝島の特集をうち、美しい自然のなかでの人々の営みの写真を掲載した。原発が何を奪おうとしているか、伝えることができたと思う。この島から原発予定地まで4キロ弱。チェルノブイリ原発と死の町となったプリピャチの距離だ。今回の着工の知らせを受けて、中国電力に電話した人がいる。すると広報の小川と名乗る人物は「昔核実験の時、放射能がいっぱいばらまかれたんだから、ちょっとくらいの放射能でむきになることはないではないですか」と言ったという。この感覚はいったい何だろう。(http://d.hatena.ne.jp/aresan/20091031/1254898052)。
ところで「DAYS存続キャンペーン」という言葉を見て、事態はそこまで深刻なのかと驚かれた人もいるかもしれない。あと500人定期購読者を獲得できれば存続できると訴えて、1週間で50人の申し込みがあった。しかし横浜フェスティバルは台風の接近で、連日雨。祈る思いで空を見ている。(広河)