『パレスチナ 1948 NAKBA』アーカイブス
全30巻のうち、1月8日に試写会が行われる
序章DVDを昨晩観ました。
この序章は映像によって丁寧に綴られた
アーカイブス版の『目次』で、各章の内容が
短く紹介されていきます。
そこから伺える全容。
今度こそは広河さんの100%構成。
うれしいです。
これまで広河さんが出会われた人々が
それぞれの立場で、ご自身のことを
話す言葉が淡々と紡がれ、それがかえって
心に沁みました。
また同時に、自然と広河さんの目線がこちらに伝わり
それぞれの取材に対する広河さんの意図や
視点の価値をじわりじわりと教えてくれました。
この問題を長期に渡り、何次元もの角度から追求し、
丁寧にそれを綴った、これは本当の大作であることを
あらためて実感しました。
中には、ユダヤ人の考古学者に
『ソロモン王の存在の証拠は見つかりましたか?』なんてことまで
インタビューしていました!!
粋な質問に思わず笑ってしまいました。
一つ一つのインタビュー、早くじっくり見たいです。
またやはり5章は迫力がありました。
5章は2002年以降の今のパレスチナ情勢を
取材したものをまとめていて、この問題を現在に
ぐっとつなげていました。
『今』は『48年』にしっかりつながっている。
過去ではないことを知らしめてくれています。
5章を見ることで、ぼんやりと歴史確認をしているかのように
見てしまいがちなそれまでの証言が、ぐっと
現実のものとなって、4章までのすべてが、
モノトーンから色を持って迫ってきた感じがしました。
ナクバは今も同じように繰り返されている。
イスラエルは誕生のため自ら引き起こした
ナクバを否定し続けるゆえ、存続するために
ナクバを繰り返さなくてはならない・・・という呪縛に
陥っていることを、この映像記録が60年という
長い目で伝えてくれています。
そして6章はユダヤ人の平和主義者たちの証言や
活動を追っています。
イスラエルで平和を求めてイスラエルの占領政策と闘い、
自ら向き合う彼らの言葉や行動は、
今のイスラエルの存在方法が、
イスラエルの人々をも苦しめ、
辱めていることを滲ませて、パレスチナの人々の証言を
聞いているときとは違う辛さを感じました。
また同時に、自分に正直に生きている人々特有なのでしょうか
きっぱりとして、何かから解放された、
自由であっけらかんとした気持ちよさも感じ、
希望を持ちました。
最終章の『消えた村々の記録』は、素晴らしい地図と村の解説、
そして美しい美しい写真、村の映像、出身者のインタビュー・・・
とこれ以上申し分の無い記録が丁寧に丁寧に綴られていて感無量でした。
私が涙が止まらないくらいですから、
パレスチナの人々は自分たちの記憶を、
こんな形で記録し、示してくれた映像を見てどれほどうれしく、
励まされることでしょう。
私が『1コマ』運動を広河さんに持ちかけたあの時の
イメージはまさしくこれでした。
そしてアーカイブス版はそのイメージを遥かに越えて
大偉業になっていると実感しました。
序章を見て、いよいよ30巻すべてをつぶさに、
一言も漏らさずに拝見したくなりました。
あの時突き動かされた衝動、闇雲に
はじめた映像による記録作りを、ここまで
形にしてくださって本当にありがとうございました・・・と
すぐに広河さんにお礼を言いました。
そして延々と続くクレジットからは、
どれほど多くの方たちの協力により、
この大きな記録がなされたかが迫力を持って伝わってきました。
1月8日はこの序章を丸ごと、
会場の皆さんで試写できる日です。
ぜひ時間を作って駆けつけてください。
ご予約はお早めに!!
森澤典子
■予約お問合せ
広河隆一アーカイブス・パレスチナ1948NAKBA 完成報告と試写会
http://www.daysjapan.net/event/event081024_01.html