暗くなってから6時から7時までが、私の当番でした。山本太郎さんがレポーター、IWGチャンネルから動画の配信が行われました。私の前に撮影したのは豊田直巳さんです。
しかし6時少し前から雨が降り始めました。ヘリの会社によると、雨でも視界は何とかなりそうとのこと。迷った末、ヘリは飛ぶことになりました。しかし霞が関上空についたら、それまでの視界が瞬く間に悪くなり、ヘリよりさらに低い高度まで霧が下りてきます。時々ビルの屋上部分がもう全く見えない状態でした。撮影どころではありません。ISOを6400に設定しても、シャッタースピードは10分の一秒くらい。振動するヘリからですから、とてもVR(ぶれ防止)を使っても、ろくな写真にはなりません。下ではほとんど道路の街路樹に人々が入っているため、よく見えません。しかし撮れないでは済まないし、ヘリに募金をしてくれた人にも、デモをしている人にも申し訳が立ちません。
ところが視界が悪すぎて、一時海に上空に避難。じりじりするうちにデモ終了の7時が近づきます。その5分前にヘリは最後の試みのために国会上空に戻りました。視界は相変わらず悪く、議事堂をかすめて霧が流れています。下には傘を差した人々がぼんやり見えます。そして議事堂前では、人々が道路に膨らみ始めていました。
昨日までは晴れていたのに雨になったこと、日比谷公園が使えなくなったことなどの悪条件が重なり、デモは以前議事堂前の道を埋め尽くした時のようにはなりませんでした。上空からそれが悔しくてたまりませんでした。しかし道路にはみ出した人々が、次回に闘いをつないでくれたと思います。雨でも、日比谷公園の使用禁止でも、これだけのことができた。人々の波は、途切れず続いてくれた。そして次の闘いに途切れず繋いでくれた。デモに参加された方々に感謝を感じるとともに、悔しさを共有して、ばねにして、多様な戦い続けていきたいと思います。なにより、このデモを快く思わない連中は、次回のデモの日の天気を恐れるでしょう。
闘いは原発を廃止するためのデモだけでなく、今すぐ子どもたちを守る具体的な闘いともつながっています。事故の責任者たち、政府、企業、自治体、医師、専門家たちの責任を問うことも、まだ始まったばかりです。そして私たちが行っている沖縄・久米島の、福島の子どものためのプロジェクト「沖縄・球美(くみ)の里」では6回目の子どもの保養が終わりました。これまで保養した子どもと保護者の母親は、250人に上ります。子どもたちにとって最も大切なこの時期に、手をこまねいてはなりません。デモも、裁判も、放射能測定も、子どもの保養も、疎開も、すべての運動を全速力で進めましょう。
球美の里では、今収容人数を50人から100人の規模にする計画を立てています。どんな台風にも対抗できる建物を建てたいのです。ご協力をお願いします。広河隆一