2009年01月06日

ガザ空爆―若者のみなさんへ

「報復の連鎖」「暴力の応酬」ではありません!
―抗議すべき相手は、だれか?―

2008年も終わる12月27日午前11時半、世界第4位の軍事力を持つイスラエル軍は、世界一の人口密集地ガザ市に60機のF16戦闘機による無差別爆撃を開始しました。(※ガザは全体でも365平方キロ。札幌市の市街区全体の三分の二程度ですが、ガザ市はさらに151平方キロで札幌市中央区の三倍程度しかありません。ガザ150万人の大半がイスラエルの建国や第3次中東戦争で追放されたり避難してきた人たちです。しかも半数は子どもです。)

ここに第一波100発の爆弾を投下しました。大学、モスク、放送局、病院、警察署、刑務所!、内務省・文化省・首相府ビル、市庁舎、税関、入国管理事務所、慈善協会ビル、UNRWA施設などの目標に95%が命中したといいます。これらは軍事目標ではありません。150万人ガザ市民の生活インフラそのものの破壊です。この空爆はジェット戦闘機に加え地対地ミサイル、無人偵察機、ミサイル搭載のアパッチヘリも動員してすでに4日間も続いています。イスラエルはさらに攻撃をエスカレートさせるため地上軍をガザ周辺に配備しています。パレスチナ人の死者は、おおみそか31日現在で公式発表390名に達し負傷者は1800人を越えたといわれています。

人口密集地に爆弾が投下されミサイルが着弾するとどのようなことになるでしょうか。以下、現地からの速報の一部を並べてみます。「爆撃を受けた場所には死体の山ができていた。映像を見ていると、何人か、まだ生きている若者がいるのがわかった。手を上げる者、頭をもたげる者。でも、彼らもまもなく死んだはずだ。全身が焼けただれ、大半が手足を失っていた。腸がはみ出して垂れ下がっている者もいた。全員がおびただしい血の海に転がっていた。」「ガザで最も大きい2つの大学のすぐ近くにある私の家の前で、ミサイルが、学生たち大勢の若者が集まっている中に撃ち込まれた。学生たちは、標的になりやすいから集団にならないようにと注意されてはいたが、その時は帰宅するためにバスを待っているところだった。7人が死んだ。4人は学生で、3人は近所の子供。レイエス家の少年たちで、とても仲のいい3人だった。これを書いている今、外を通っていく葬列の音が聞こえる。窓から覗いてみると、レイエス家の3人の少年の葬列だった。生きている時、この3人はいつも一緒だった。3人は一緒に死に、そして今また一緒に同じ葬列の中にいる。」「下校途中の高校生の姉妹2人が、空爆を受け死亡。学校から帰る途中の、今は死者・負傷者となった大勢の子供たちが、ハマースの武装メンバーだというのか?」「最初の空爆から30分ほどたったころ、帰宅中の3人の女の子が、通りの少し手前にある警備隊司令本部の前を通りかかった。その時、司令本部にミサイルが撃ち込まれた。少女たちの体はバラバラに引きちぎられ、通りの端から端まで飛び散った。通りにも死体が、腕が、脚が散らばっている。靴をはいている足、はいていない足。ガザ市全域が恐怖とパニックと混乱に包まれている。」「病院の廊下はまるで屠畜場だ。いかなる想像も及ばない、どんなホラー映画もしのぐ光景。床は一面、血の海で、負傷者は壁にもたせかけられたり、死んだ人と隣合わせで床に寝かされたりしている!」

これは大量無差別殺戮、ジェノサイド以外のなにものでもありません。ひとつの社会が丸ごと崩壊しつつあるのです。南京でもアウシュビッツでもヒロシマでもあった光景です。人間を人間として見ない人種差別の考えがなければできることではありません。すでにガザには、食料も電気もガソリンも医薬品も欠乏している状態が1年以上続いています。金融から食料・医薬品にいたるまで封鎖し兵糧攻めにしたあげく無差別に殺戮したのです。

どうしてこんなことを平気でできるのでしょう?何か大きな後ろ盾がなくてはできないことです。じつは、こうしたイスラエルの悪魔のような所業を許し後押ししてきたのは、米欧日の「国際社会」なのです。

今回イスラエルは、「ハマースがイスラエルへの攻撃をやめないから」攻撃したといいます。ハマースは、「イスラエルが軍事占領と不当な経済封鎖をやめないから」攻撃したといいます。イスラエルも悪いが、ハマースも悪い。武力に訴える双方が悪いのでしょうか?若いみなさんは目の前にある現象の背後に、それをもたらした歴史や構造がどのような力関係によって織り成されてきたかを探る努力が必要です。とりわけ力の弱い人々が、彼らは何と闘い何を獲得しようとして闘っているのか、それを注視しなければなりません。

まず「国際社会」は、05年の非常に民主的な選挙で選ばれたハーマス政権を認めませんでした。そしてイスラエルの占領地パレスチナ社会にたいする経済制裁を支持してきました。さらに昨年6月ハマースがガザ地区の実権を握って以来1年半にもおよぶ違法なガザ封鎖(じっさいには2000年以来)による兵糧攻めという集団懲罰を「国際社会」は容認してきました。

軍事占領下に生きるということは、生活の隅々まで軍事支配に干渉されるということです。占領下のパレスチナ人は、たとえ抵抗しなくともフツーの生活を送るのは困難なことなのです。彼らは、口で抵抗したら逮捕され、石で抵抗したら殺されます。さらに土地強奪、家屋破壊、農地破壊、指導者の暗殺・不当逮捕、収監、拷問、強姦、買収などあらゆる手段で占領下の抵抗を日常的に抑圧・弾圧しパレスチナ社会を破壊してきました。

振り返ってみると、建国後の60年間、あるいは軍事占領後の41年間、イスラエルの悪行を「国際社会」は正面から批判・告発・制裁することはほとんどありませんでした。土地と家屋を奪われたままの難民問題、ジュネーブ条約にも違反する入植地の問題、国際司法裁判所からも違法のレッテルを貼られている分離壁の問題、なによりも軍事占領してはならないという国連決議。これら一切をイスラエルは履行することなく国連加盟国であり続け、「国際社会」から本格的な制裁を受けたことが一度もないという特殊な国なのです。第2次大戦後の国際正義は、その多くはイスラエルの存在によって破壊されてきました。

これに対し、軍事占領と闘っているハマースは、貧しい人々のための診療所や学校、病院、職業訓練学校を開設し、この経済封鎖のなかで食糧援助や福祉計画によって民衆を支えてきました。私服を肥やしているファタハの幹部と違って、ハマースの指導者は一般の人々とともにつつましい生活を送ってきました。だからパレスチナ民衆に根強い支持があるのです。イスラエルや欧米の言いなりになり譲歩に譲歩を重ねてきた自治政府とファタハが残してきたものとは、政治腐敗と土地を奪われ虫食い状態にされた西岸地区だったのです。「軍事占領している限りイスラエルを認めない」というハマースは、公正というパレスチナ民族の大義のために闘ってきたといえるのです。

しかし9・11直後のアメリカによって「国際テロ組織」の汚名を着せられ、「国際社会」は「反テロ戦争」の名のもとにハマース=パレスチナ民衆を敵視してイスラエルを何がなんでも支持し続けているのです。イスラエルは国連加盟の国家で国防軍をもっていますが、パレスチナは「国家」さえもありません。不当な軍事支配に対する抵抗運動は、民衆の中から湧き起こるが故に民衆全体を抑圧し弾圧しなければなりません。ですから、イスラエルは建国以来「集団懲罰」という卑劣で野蛮な方法でパレスチナ支配、中東支配を貫いてきました。今回のようなことは、いまに始まったことではないのです。

それに対して、インティファーダなどパレスチナ側の抵抗運動が激しくなるたびに、本来イスラエルが履行しなければならない矛盾の根源に立ち返ることなく、むしろ設定される土俵が「暴力の応酬」「報復の連鎖」という非常に不公正(アンバランス)な対比が世界中で喧伝・利用されてきました。

今回もまた、TV,新聞などのメディア報道はいっせいに「暴力の応酬・報復の連鎖を懸念」と報道し始めました。そればかりでなく、国連事務総長や各国政府、アムネスティやNGO諸団体の声明もおなじく、イスラエルの空爆中止と並行してハマースの迫撃砲攻撃をやめることを要求しています。喧嘩両成敗というわけです。

そこでは明白な非対称があえて不問にされています。死者数が300:1という事実もありますが、武器弾薬の質と量、兵員数と総合兵力を較べてみると1000:1、1万:1と考えてもいいのです。イスラエルが200発以上の核ミサイルを保有していることはここでは除外しても、軍事力の点で比較にならないことは明白なのです。なのにあたかも喧嘩両成敗というロジックが一見成立するような見かけを与えるのは、「不当な軍事占領下の抵抗運動」という冷厳で最重要な事実を捨象しているからなのです。

どうしてこのような意図的な捨象が「国際社会」にまかり通っているのでしょうか?どうしていつも「どっちもどっち」のような錯覚した印象を与えるのでしょうか?それはわれわれをふくめた「国際社会の常識」が不当なイスラエルの軍事占領支配を「いいことだ」と容認しているからなのではないでしょうか。私たちは、イスラエルや米欧政府が信じ込ませようとしているこの奇妙な「国際的常識?」すなわち「反テロ戦争の常識」から解き放たれる時期ではないでしょうか。世界の民衆の切実な声に耳を傾けることなく、この奇妙で野蛮なレトリック(トリック)から解放されることはないでしょう。

今回のような出来事に接すると、まずイスラエルと「国際社会」に抗議し空爆の中止を求めることが必要のようです。すでに日本国内でもパリやロンドンやワシントンでもその声があがっています。さらに私たちにできることはないでしょうか?私たちに身近なところに、抗議し批判すべき相手はいないでしょうか?あなたが考えたことを、家族や友人・知人あるいはメディアの人々に伝えることも大事なコミットメントではないでしょうか?

いま日本は、不況の最中にあっても軍事費を削ることなく日米同盟の絆をいっそう深くし、「戦争をできる国」から「戦争をしたい国」へと転換し、イスラーム世界への軍事進出を虎視眈々と準備しています。「反テロ戦争」は、つまるところイスラーム第三世界への欧米資本主義諸国による支配の強制戦略なのです。イスラエルは欧米が打ち込んだ楔です。イスラエルと闘っているパレスチナ人は、米欧日の「国際社会」が喧伝しているこの「反テロ戦争」の最前線で苦闘しているのです。世界や日本の報道する「暴力の連鎖」という常套句は、この「反テロ戦争」を永続させる標語なのです。私たち自身を縛っているこのレトリックと闘うことが、パレスチナの人々に想いを寄せ、彼ら彼女らの死を無駄にしないことではないでしょうか?

これ以上、最前線で闘っているパレスチナの子どもや若者、女性を見殺しにしてはなりません。これ以上、ガザ市民をいけにえにしてはなりません!

2008年12月31日
パレスチナ連帯・札幌 松元保昭


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TUP速報

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アキバ・オールの手紙

以下、広河隆一に届いたアキバ・オールからの手紙です。


テルアビブでの反戦デモからいま帰宅した。
5000-7000人の参加者のうち7割がユダヤ人、3割がパレスチナ・アラブ人だったと推測されている。
ほとんどがテルアビブの外からバスで来た。デモはラビン・スクエアと映画館の間の the Ibn-Gvirol mile をあるきながら『爆撃を止めて対話を始めろ』『封鎖を終えろ』『シオニズムのために殺し殺されることは拒否する』などのスローガンを叫んだ。約2000人の右翼が『アラブ人に死を』と叫びながらデモ行進を追いかけ襲撃しようとしたが、M16ライフルで武装した警察と軍によって押し戻された。この喧嘩はテレビ局のカメラの興味をひいたので、当局はまずいと思ったのだろう。サハニンでもデモがあり、四万人が参加。うち8割がアラブ人、2割がユダヤ人。右翼ユダヤ人はいなかった。テレビはどのデモも映さないだろう。

新聞はよくても最後に小さく載せるだけだろう。
帰り道、ラジオでイスラエルの戦車がガザに入ったと聴いた。バラクのラジオでの話は、多数の犠牲者が出ることを覚悟するようイスラエル人に対してよびかけることがおもな内容だった。

いろいろな情報を総合すると、侵攻には三つのおもな目的があるようだ。
1) ハマス指導層を殺す、もしくは捕らえること
2)ハマスの兵器を破壊すること
3) イスラエルの書く停戦合意をハマスにのませること

イスラエル政府は今後批難されたくないので『簡単に早くは終わらない』といいつづけているが、私はかれらに長期戦をするつもりはないと思う。オバマが就任する前に手早く作戦を終わらせたいのだ。政府は市民を攻撃しないように努力していると強調している(悪い評判が計画を損なうこともあるため)。作戦がうまく行くかはまた別問題だ。バラクの言葉で古いユダヤの格言を思いだした。『賢い者は利口な者が自らを救い出す状況を避ける』バラクはたいていのイスラエルの指導者のように利口だが、賢くはない。

私はこの不必要な戦争で殺されたすべてのパレスチナ人とイスラエル人の死を嘆いている。悲しい。

(訳:青柳 泉)
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